頂き物のターン!



SSが先に来ているので、素敵絵を真っ先に見たい方はここから飛んでください。




「なんだ、これ?」
 夜通しデュエルしていた日曜日の朝……はとっくに過ぎた時間。
 部屋の主より早起きして外の空気を吸いに行こうとドアを開けたら、それがあった。
 見覚えのあるロゴ……ここの学園のロゴだ……の紙袋。
 購買でよく見かける、いつもならパックを買うと入れてもらえる袋だった。
 よくみると、紙袋には大きな字で十代宛だと書いてある。
「おお、十代へのプレゼントだな!」
 あいつもやるなぁ! ……でも、なんか、複雑。
 とりあえず袋を手に部屋に戻る。3段ベッドの下の段でブランケットを蹴飛ばしてついでに自分も落ちそうになって眠っている十代を起こす。
「十代! おっきろー!」
 耳元で叫んで、ついでにふぅ、と一息。
「うひゃ!」
 叫びより一息で十代が奇声をあげた。

「よ〜は〜ん〜!」
 その起こし方やめろ! 文句を垂れる十代の鼻先に紙袋を押しつける。
「部屋の前にあった。十代宛だぜ」
「ん? なんだ……?」
 まだ眠いらしく目をこすりながら袋を開けた十代が、「おお!」と歓声をあげた。
「トメさんからだぜ。俺とヨハンにだって」
 じゃーん! とかけ声を掛けながらびろんと広げたものに、俺も「おお!」と声をあげた。

 この間、テレビで見たどっかの夏祭りで着てたのを見て涼しそうだなーと思った日本の民族衣装。名前だって知ってるぜ!
「甚平じゃないか!」
「え、誰誰!?」
 俺の言葉にきょろきょろと周囲を見回す十代。
「なあヨハン、誰かいたのか?」
 ……十代。

 トメさんからのプレゼントの甚平は2着入っていた。
 夏休み前の購買部の大掃除を十代と一緒に手伝ったけど、そのときのお礼らしい。
「せっかく日本に来たんだから、こういう楽しみがあってもいいでしょ」って、わざわざ用意してくれたようだった。

 さっそく色違いの甚平を着てみる。
「おお、足がすーすーする!」
 短いズボンって本当楽だなー。でも、……あれ?
「なあ十代」
「ん?」
 一足先に着替え終わっていた十代……それにしても脚ほっそいなぁ……が、俺が言わんとしていたことをくみ取ってくれた。
「ヨハン、合わせ目が逆だ」
 それじゃあ紐結べないぜ。
 甚平についている紐をどう結べばいいのか試行錯誤していた俺と向かい合うように立って、十代が手際よく紐を合わせて結んでいく。
「よし、と」
「サンキュ、十代! さっそくトメさんに見せに行こうぜ!」
「おう!」
 もうすぐ昼ご飯、トメさんが食堂にいるってのはわかってる。

「あ、下駄もあるぜ」
「ああ……っとと」
「こけるなよ、ヨハン」

 いつもと同じ、蒸し暑いのは相変わらずだったけど、それでもどこか涼しいと感じたのは、
「おお、改めて見ると十代似合ってるなぁ」
「おまえこそ、意外と似合ってるぞ」
「意外ってなんだよ」
 肩を組んで笑うこいつの格好がいつもと違うからだ。






ハイカラの雁様の残暑見舞いをいただいてきました!
甚平ですよ! 生足ですよ! はぁはぁ(妄想乙)
というわけで、SSをつけてみました。
雁様、どうもありがとうございました!(08.08.26)
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